この家の建て主さんは、『磐井川の家』の建て主さんのご子息です。

20年前にCM分離発注方式で建てた家で過ごされた建て主さんにとって、
磐井川の家は自慢の家であり、人生のターニングポイントと言える家だったそうです。
将来、ご自分が家を建てるときは、弊社に必ず依頼しようと決めていらっしゃったとのことで、ご依頼頂きました。

計画地は北鎌倉にあり、近隣には観光名所が数多く点在しています。
以前よりここに住まわれていた義両親との同居を機に、二世帯住宅への建て替えを行いました。

風致地区による緑化率や壁面後退等も含め、既存のお住まいの落ち着いた鎌倉らしい佇まいをファサードに残しています。

人通りが絶えず行き交う前面道路からの視線を遮りつつ、ゆったりと過ごせる空間にまとめました。

前面道路側は伝統的な切妻屋根の形状とし、街なみに揃えています。
その背面に建つのは、ガルバリウム鋼板をまとった現代的な片流れ屋根の形状ですが、
黒くすることで影のように存在感を消し、景観に溶け込ませています。

異なる2つのボリュームが融合し、周辺と同化しながら新しい時を刻んでいきます。

1階LDKは、二世帯が集い、語らい、くつろぐ場。
キッチンは、2～3人で料理可能な広さに計画しました。

和室の扉を開けると、約21帖の広い空間になります。

バルコニーからは桜だけでなく、道路と線路を挟んだ向こう側の緑豊かな景観も堪能できます。
春は桜、秋は紅葉といった景色を、プライバシーを確保しながら満喫できる場所です。

桜以外の既存の植栽を移植し、灯篭・つくばいや濡縁も再利用しました。

祖父の代からあるシンボルツリーの桜は、既存の住まいの建築時も今回の新築時も移植せずに工事を行いました。
桜の根の状態に基づいたプラン検討、そして、根を傷つけないよう細心の注意を払いながら工事を進めました。

三世代の記憶を継承する桜は、これからもこの家の歴史を見守り続けます。

プロジェクト概要